第8話 フワフワッな台詞
起動させると、スマホの画面のようなものが出てきた。アプリのように魔法の種類?
が並んでいる。とりあえず、綿飴みたいなアイコンを押してみた。
『フワフワッ』とシステム音が鳴り響くと、雲?綿飴?のような紋章が出てきて、
僕の体を通り抜けた。
カマキが動揺しながらこちらに走ってきて鎌を振りまわす。何とか避け続けるが、鎌を横に振り切った後、手首を捻り、僕の顔目掛けて鋭い先端が来るが、避けきれずに目を瞑る。
「これで終わりだー」カマキの叫び声が聞こえた。
痛くない。目を開けると頬に鎌の先端が刺さっている。体が綿飴状になっていた。
「そういう系っ・・・」カマキが僕の頬に鎌を刺したまま目を見開いてつぶやいた。
僕は地面を蹴り、カマキの頭上に跳ぶ。鎌は僕の頬を通り抜ける。
カマキがそれを見上げると同時に糸を出し、
輪っか状にして、両腕を胴体ごと拘束する。
そのまま蹴りを入れたが、カマキは動かない。というかびくともしない。
魔法のせいか体が軽いため、ゆっくり地面に落ちていく中、手を地面に突き、もう一度跳ぶ。銀色の石に表示されている綿飴アイコンを消し、元に戻った体でカマキに再び蹴りを入れカマキを吹っ飛ばした。
カマキは砂場の方へ吹っ飛んでいき、顔からダイブした。
「あーもうホント、何でだよーっ。僕だって使えたことないのに・・」
カマキが口から砂をペッペッと出しながらキレ散らかす。
そんなカマキに僕は問いかけた。
「なぁ、イグアは人の事を家畜だと言っていたけど、あんたはどうなんだ?
サファリング星が大変だってことも城での話で少しは理解できたと思っている。
人間を資源としてでなく、対等な生き物として、共存はハードルが高いかもしれないけど・・・でもきっと一緒に暮らせる時が来るかもしれないし・・・」
「何が言いたいんだよ」
「えっと・・人間を襲わない、侵略もしないで欲しい。一緒に暮らしてみないか?
この星で。僕は迎えるよカマキを・・・」
「ホント、ホント、ホントに腹立つなーーーっ」
「えっ・・・」
「僕に情けで命だけは助けてやるよー、豚小屋で寝泊まりさせてやるよーってか。
ざけんなよーーーっ。僕はこの第二調査団で一番頭いいし、運動できる・・
カマキ・リカバーだぞーーっ」
怒りながら、走ってくる。僕は冷静さを失ったカマキの鎌攻撃を避けながら、魔法を起動させる。『サウルスラッシャー』
剣が具現化し、剣で鎌を受け止める。カマキの表情は最初にあった頃とは全くの別物だった。プライドを傷つけられ、悔しがっているような、憎んでいるような・・・
そんな険しい表情をしていた。
そんな顔を見続けたくなかったからだろうか?
剣であしらい、カマキと距離を取る。
「うーっ、うーっ。うぁーーっ」
怒りに身を任せたカマキが力を込める。鎌が光った事で確信した。
生態能力を極限まで解放することで一時的に強大な力を手にする事ができる、
『リバース』をしようとしている。
「後悔してもおせーよ。ギンツェ手に入れたからって調子に乗りやがってぇーっ。
これを喰らったらタダじゃ済まないぞーーーーっ」
カマキ渾身のリバースがこちらに向かってくる。
指先から糸を出し、前方にあるジャングルジムに括り付けて引っ張られるようにカマキの頭上を跳ぶ。
「喰らったらな・・・」カマキの背後に回り込んだ僕はそう言い、剣でカマキの鎌を切り落とした。
その反動でカマキは後ろ向きに倒れ込む。
「誰かを傷つける事は許さない。雄馬くんだけじゃない。他の人もだ。
イグアにも伝えておけ。僕がみんなを守る」
「くっ・・・・・・・うああああーーーーーー」
カマキは僕に背を見せ、切り落とされた鎌も拾わずに、公園を飛び出して逃げて行った。
そんなカマキを眺めていた僕のお腹にバフっと抱きついてきた。雄馬くんだ。
「怖かったよーーーっ」雄馬くんは僕のお腹に顔をつけながら、しばらく泣き続けた。
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