第4話 お出迎え城ー
「疑うも何も君は私たちの言葉が通じるし、話せる。そしてこの城にかけられている
最先端の魔法『ドッチカーナー』にも入って来た際に反応がなかった」
「魔法?・・・・」
「君、魔法を知らないのか?君はいつから地球に居るんだ?」
話して良いのか?でも身元を話さないと帰れないし・・・
「この星の時間で言うと5年ぐらい前です。気づいたら、公園で倒れていました」
「サファリング星では魔法が発明されてもう10年程経つ。
地球と我々の星では時間の流れが違う様だな。面白い発見をした」
「よし、決めた。君の名前は?」
「カイ・コーノです」
「カイ君、我々は地球の事についてここに来る前にデータをインプットこそしているが、地球についてはまだ詳しく知らない。そこで、君に力になって貰いたい。
もちろん。タダでとは言わない。君の要望をできる限り受けよう」
「本当ですか?サファリング星に帰るなんて事も・・・」
「お安い御用さ」
帰れる、お父さんに会える。
「やります。帰ることができるなら」
「そうか。私の名前は、イグア。この第二調査団の団長だ。座右の銘は特に無い」
「無いんですか・・・」
そう言い、イグアはステージを降り、こちらに来た。
僕の目の前をウロウロしながら、あごに手を当てて言う。
「もし、良ければ泊まっていかないか?こんな星で長い生活を送って疲れたろう」
「こんな星?・・・」
僕がそうつぶやいた瞬間、イグアは僕に背を向けて言う。
「我々が地球に調査に来た理由をまだ話していなかったね。我々は資源確保のため に地球にやって来たんだ。我々の星では10年前に魔法石を使用したデバイスによる魔法が発明され、我々の生活は格段に豊かに、便利になった。魔法石は地下で発掘され、最初は庶民に出回っているものじゃなかった・・・」
イグアの背中を見て気づいた。甲冑には城の外壁にあったロゴと同じものが彫ってある。
「しかし、デバイスは急速に普及した。争いの兵器として・・・。それから魔法石が
湯水の様に使われた。生活、兵器、お金・・・。
争いが終わった後も誰もデバイスを手放そうとしなかった。
一度、快楽を覚えたんだ。当然だ。やがて、魔法石の採掘量はピーク時の2割ほど
となった」
段々とイグアの息遣いが荒くなっていく。
そして、さっきから僕の頭の中のもやが薄くなっていく。
「争いを勝ち抜き、星を納めていたプテーラ首領は考えた。魔法石が埋蔵されている
場所は他にもあるはずだと。そうして見つけたのがここ地球だ」
プテーラ・・・、争い・・・、デバイス・・・、あの青と白のロゴ・・・。
そうだ・・・。急いで僕は指先に力を入れる。
「地球を調べていくうちに魔法石だけじゃなく、人間・・?とかいう魔法石以上の
性能を発揮しそうな資源、道具、モルモットまでいる最高の星の調査団に任命さ
れた、プテーラ様直々に言われたのがこの俺、第二調査団団長・・・
イグア・ナーバスだーーーーーー〜」
思い出した。昔、ニュースで戦争の中継映像を見た時、反王政側の兵士が
このロゴを付けていた。戦況は最初こそ王政側が有利だったけど、新兵器が出てきて、この後どうなるか?って話だった。
「ふっ・・その顔はやっぱりか・・・」
「どっ、どうかしました?」
「魔法も知らなかったぐらいだ。お前のサファリング星での時間はせいぜい、
サウルスとチョウオウ家そちらが勝つかってとこで止まってるだろ。
結果はサウルスが魔法石で作った新兵器『ライオンペット』で
チョウオウ家は惨敗。頼みの綱だった『ハネノキセキ』も行方不明」
「そんな・・・今度は地球を同じようにするのか?・・・」
「情が湧いたな。10年も居ればそうなるか?
勘違いすんなこのただの球形の星、家畜がわいてるだけの場所は納めるまでもない。
俺たちサウルスのゴミ捨て場みたいなものだ」
イグアは一呼吸おくと、叫んだ。
「全員、位置につけ。カイ・コーノを捕えろ」
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