第15話

「や、はなし、て」


呂律が回らないのはきっとアルコールのだけのせいではない。


ドクドクと体の中で血が流れるのを感じる。


離そうと胸を押す私の手。


力一杯押しているはずなのにびくともしない。




今までこんなにも死を意識したことはなかった。


ポロポロと生理的な涙が溢れ男の髪に落ちる。


でも不思議と恐怖は感じなくなっていた。




自分で立っていることもままならなくなり力が抜け、ズッと背中が壁に擦れる。


「あっ…」


膝が折れた瞬間に男に抱えられ、より距離が近づいた。

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