第14話

冷たい指が首筋を撫でる。


「名前だけ、教えて」


少しでも気を緩めると体は崩れ落ちていきそうで、

冷たい手を温かいと感じてしまうほどに頭も働いていない。


強気に見る。


何も知らない男、

せめて名前くらいは。



「カイ」


「…カイ。痛っ」


私が吐息と共に名前吐き出すと、首筋に痛みが走った。


それも一瞬。


すぐ、ジンジンとする痛みの中に、別のものが混じっていることに気づく。


恐怖は確かに感じる。


それと同時にこの男を愛おしいと感じるような不思議な感覚。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る