第11話

「あいつ客に捕まったから頼まれた。飲めば」


背筋が凍りそうな冷たい声。


一応お客さんのはずの私に対して、不機嫌そうな態度を隠しもしない。


それもこんな綺麗な顔だから許されるんだろう。




冷たく綺麗な切れ長の瞳に逆らえない私は、渡されたドリンクを一気に煽る。



頭に血が上り、急激に熱くなる。


「あっ…お酒」


男の瞳に捕らえられ

ろくに確認もせずに飲んだグラスの中身はもうない。


中身はアルコールだったようでぐわんぐわんと視界が歪む。


背もたれのないカウンターチェアに座っていられなくなり、後ろに倒れそうになるところで男に支えられた。



「ごめんなさ…」


「ちっ、まだ早いな。…出るぞ」

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