第10話

何が?

そう聞こうと口を開いたところで、狼男は人差し指を立てて私を黙らせた。


「飲み物持ってくる。待ってて」


男は人混みの中に消えて行った。




目の前に置かれた真っ赤なドリンク。


「狼男さん、あの…」


隣にいたのはさっきの狼男ではなかった。



狼男が同じバーで働いているといった男。


さっきの狼男もだったが、この男もとても綺麗な顔をしている。


綺麗な顔にチープな悪魔のツノのついたカチューシャが浮いて見えるほどに。

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