2#空にあこがれて

 「はぁ・・・」


 人間に攻撃された傷が癒えないドラゴンのパルは、上空拡がる青空を見上げて一筋の涙を流した。


 「俺がもし空を飛べたら、地上でこんな目に遭わないのに・・・」


 ドラゴンのパルは夢想した。


 「もし、俺の背中の翼が大きく羽ばたける位に逞しかったら、

 この巨大な身体が上空に浮いて、この無限に拡がる大空を自由に飛べるのに・・・


 そしたら、もう地上で人間にいじめられて酷い目に遭わないのに。


 それに、見たことの無い風景や、見たことの無い世界が見られるし行けるのに・・・」


 翼の短いドラゴンのパルは夢想した。

 

 大きな翼をはためかせて自由に飛びまわる、ドラゴンのパルの姿・・・


 眼下には黄金に輝く世界や、美しい風景。

 

 妖精たちが、周りを飛び回って空を行くドラゴンのパルと戯れて・・・


 「嗚呼・・・何で俺の背中の翼は・・・こんなにも短いんだ・・・


 嗚呼・・・空を飛びたい!!空を飛びたい!!

 あこがれのこの空を飛びたい!!


 俺は空を飛びたいだけなんだぁーーーーーーーー!!」


 遂に、ドラゴンのパルは感極まって大粒の涙を流して激しく号泣した。




 「ドラゴンさんや。お困りのようですね?」



 側で人間の声がして涙で滲んだ目をドラゴンのパルが拭うと、そこには・・・


 「あなたは・・・もしかしたら・・・魔道士さん?」


 


 

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