風船ドラゴン空を飛ぶ

アほリ

1#飛べないドラゴン

 とある何処かの世界。

 

 1匹の大きなドラゴンが、空を見上げて溜息をついた。

 

 空には大きな逞しい翼をはためかせて、凛々しいドラゴンが悠々と飛んでいた。


 「はぁ・・・何で俺はドラゴンとして産まれてきたのに。


 何で俺は空を飛べないんだ!!


 ドラゴンのパルは、果てしなく拡がる大空を見上げて、己の背中に申し訳なさそうに短く生える小さな翼を恨めしく思った。


 「何で俺の翼はこんなにもちっこいんだ!!


 俺は神を恨むよ!!何でこんな情けないくらいにみっともない翼のような物が俺の背中に生えているって事を!!


 あーーーーー!!空を飛びたい!!


 あーーーーー!!空を飛びたい!!


 あーーーーー!!空を飛びたい!!


 飛びたい!!飛びたい!!飛びたい!!飛びたい!!」   


 

 ドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドス!!!!!


 

 ドラゴンのパルは、ジタバタと暴れて駄々をこねた。




 がっしゃーーーん!!ばりばりばりばり!!


 どーーーん!!がらがらがっしゃーーーーーん!!



 「わぁぁぁ!!わしらの街が!!」


 「ドラゴンに街をぶっ壊される!!」


 「また迷惑ドラゴンが現れたか!!」


 「迷惑ドラゴンあっちへ行け!!」


 「勇者を呼べ!!あの憎き迷惑ドラゴンを討伐してもらえ!!」


 ジタバタするドラゴンのパルの振動で、近くの街が崩壊してしまい、住民達が次々と石や物をを投げつけてきたのだ。


 「うわぁーーーーー!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!」


 怒れる住民からの攻撃で傷だらけのドラゴンのパルは、大粒の涙を流して慌ててドスドスドスドスドス!!と地鳴らししながら走って逃げ出した。


 「うわぁーーーーー!!わしらの街が全部ぶっ壊れて無くなったぁーーーー!!」

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る