第15話
そして、セドリックオーナーは、徐にケイトを見て合図を送る。ケイトは席を立ちセドリックオーナーの横座ろうとするケイトを見て、古株の役員は立ち上がり、ケイトは、見渡して頷き座る。役員達は席につく
「今回我が家の醜聞で悪いが、息子であるモーリスがギャンブルに手を出して多額の負債を負って、ワシントンボールドホテルの売上を着服した。本人は、今FBIで取り調べの最中である。ホテルの着服した金は、本人の裁判が終わった後に負わせる事にする。が、今現在の負債額が3000万ドルを越えてしまった為に、今回我が家だけでなく、全てのボールドグループの総帥である、大株主のケイト・ホーガンに出席して頂いた。私セドリック・ホーガンの進退も彼女に任せます。ケイト、前へ」
ケイトが、席を立ち前へ出ると、役員達は立ち上がり拍手をする。それを見て他の幹部たちも立ち上がる。しかし、カークとアダムは、呆然と見つめる。
「ケイト・ホーガンです。皆さんお座りください。ボールドグループの総帥は、先代のマイケル・ホーガンが、引退を決めた時に、伯父のセドリックだけでは大変だと言って、私の父に話がありました。父親は、その当時初期の胃癌が見つかり私が、代わりに引き継ぎいたしました。それから私が前に出る事が無いように伯父であるセドリック・ホーガンは、頑張っていました。しかし、今回は違います。セドリックオーナーの子供と言っても充分に大人ですが、モーリス・ホーガンの不始末です。
ワシントン・ボールドホテルの支配人であるモーリス・ホーガンを唆した者がいます。その者は、モーリスに多額の負債を負わせ、その上に法定利息以上のお金を貸して、ボールドホテルグループを乗っ取ろうといたしました。その者たちは、セドリックオーナーの持つ株の権利を渡さなければ、息子の不始末とボールドホテルグループの評判を貶めてやると脅しました。私が、先日伯父と会った時に思い詰めた彼を見て、調べさせた所、その者達の不正も明らかになりました。カーク・リシャール、アダム・ブラウンの2人です。カーク・リシャールは、支配人の地位を利用して、VIPの情報や宿泊客の情報を売り買いしていました。アダム・ブラウンは、チーフシェフの地位で、仕入れ時に賄賂を貰い賄賂の多さで仕入れ先を決めておりました。そして、ボールドホテルを売買する為に売買先を探しておりました。申開きはできません。全て裁判所で法的に戦います」
ドカドカと、大柄な男達が会議場に入ってきた。
「FBIだ、カーク・リシャール、アダム・ブラウン、収賄容疑と情報漏洩の罪で逮捕する」
逮捕されて、連れて行かれた。一時期騒然となった会議場は、ケイトの一言で静かになった。
「静粛にクィーンの権限で命令する」
ケイトは続けて話し出した。
「それでは、皆さんに総帥の私が、これからのボールドグループ、並びにボールドホテルグループのこれからの事を申し伝えます。明日よりボールドホテルオーナーのセドリック・ホーガンはオーナーを辞していただき、ボールドグループの総帥に就任して頂きます。そして、私、ケイト・ホーガンが、ボールドホテルグループのオーナー兼総支配人としてホテルグループ全体の再編に挑みます。これからのホテル経営は、安くて質を落とすか、高くて高級嗜好になるかの二極化となるでしょう。しかし、利用者の目線に立たないと利用者から見向きもしてもらえません。皆さんとぜひこのジレンマに良い答え導きボールドホテルを今以上に盛り立てましょう」
ケイトは、そう言って壇上を降りた。その瞬間に満場一致する拍手をもらった。
「ケイト、俺が総帥なんて」
「オーナーは私がします。総帥は、偉そうにふぞりかえっていてくれれば良いから、総帥のブレーンは実力派だから伯父さんでもなんの心配いらないから、たまには姪の愚痴を聞いても罰は当たらないわ」
「モーリスは?」
「あいつは、正直に言えば、家業とは違う仕事をする方が良いと思うの」
「モーリス兄貴は、ジョージの仕事なんかが良いと思う、あの人連れは良い人多いよ。騙されやすいのは玉に瑕だけど、馬鹿みたいに人を信じるから、今回の件で少しは懲りたと思うけど、ジョージに頼めば良いよ。あいつは面倒見だけは良いから」
「だって、伯父さんも伯母さんも子離れしないと、人生あと少しで終わるからね、自分達が主役で頑張ってね」
私は、伯父夫婦に言葉をかけて、伯父と引き継ぎの打合せをした。
その後は、スケジュール調整に時間を費やして日付が変わる頃にやっと自宅に戻った。
自宅に戻って健作に寄りかかる。
「おかえり、疲れたかい?」
「上手くいった。あなたの案が今思っても正しいわ。ありがとうございました」
「どういたしまして」
健作が、会議場に入る直前に電話で伯父の顔を立てて、私の負担は多くなるけど、これからの事を考えるとベストだと言ってくれた。私は、少し迷っていたが、決断できた。
「ケイト、一時、日本に戻る」
「そうね、旅館も放っておけないでしょうし」
「真理恵ちゃんを日本に届けて、兄貴と話し合ってそれから、聖が、日本に戻る時に、ケイトも日本に来ないか?」
「そうね、聖は、9月には卒業して少し身辺整理して日本に行くだろうから、私も夏休みを日本で過ごす、そして、健作さんとアメリカに戻りたい」
「勿論だよ、俺も身辺整理をするよ」
「ビザの関係もあるから、やっぱりアメリカで結婚がベストだな」
「楽しみだわ、飛行機は、明後日でも良い?」
「最終便を取ってある。思う存分可愛がってあげれるよ」
「really?」
「YES、MY better half」
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