第14話
伯父に会って、モーリスの件とホテルの買収の話をした。
伯父は、少し黙っていたが、詰め寄るとポツポツ話し出した。モーリスが、ギャンブルにハマった事、伯父が金策で伯父の持つボールドホテルの株以外の全てを売ってしまったらしい、それでも足らない分は、何処かで借りるしかないと思って思い詰めていたことなどを話してくれた。
健作が、一緒に来て、法律と判例を挙げて説明してくれた。彼は、日本でも弁護士の資格を持っている人だった事を思い出した。
ディックからその日の夜に連絡があって、大学の同級生だったガバリエ・コーンが今コーンロー一家を率いているので、クイーンの身内のモーリスの件から一切手を引いてくれると言っていた。又、明日の緊急会議にはFBIの捜査官を派遣してくれると言ってくれたので、カーク支配人とシェフのアダムを断罪することになった。
伯父には、明日の緊急会議で、君達の要望も含めて話し合いを行うことになったと言うように頼んで連絡してもらった。
次の朝早く、朝ごはんを食べようとしたら、また部屋のベルが鳴った。
「はい、どなた?」
「リックだよ」
「えっ、リック、おかえり」
リックとジョージともう1人女の子が来た。
「えっ、誰?」
「真理恵ちゃん?美人だとは聞いていたが、ケイトの次に美人だ」
健作が、呟いた。
「真理恵ちゃん、あぁ面影がある。って事はリックは、もう告白してOKもらったの?」
「真理恵ちゃんに会って、まだ恋人いないと聞いて速攻プロポーズしました」
「聖、真理恵ちゃんの両親側には言って連れて来ただろうな」
「ちゃんと挨拶もした。涼平兄ちゃんが仲人?になってくれたから上手く行った」
「それで、何どうしてジョージまで」
不思議そうにジョージを見た。
「あの俺の親父が、投資コンサルタント会社しているのは知ってますか?」
「有名だから知っているけど」
「親父から俺に連絡があって、オフレコの噂話でボールドホテルの買収先のことが出ているらしいって言うんです。聖に言ったら、どうせなら電話より真理恵ちゃんをケイトさんに紹介するからって飛行機を取って一緒に来ました」
「ありがとう、全ての証拠が集まった。今日相手側を緊急会議でギャフンとする予定なのリックも手伝いなさい」
「了解、ケイトは、父さんとは上手く行ったみたいだね」
「勿論だ。俺の妻を呼び捨てにするな」
健作が、私を抱きしめて言う。
「お前はデリカシーがないの?」
「デリカシーがない母親から育ててもらいました」
「真理恵ちゃん辞めるなら今だよ」
「大丈夫です。私そんな事で引きませんからお義母様」
真理恵は、リックに抱きしめられながら言う。
「ケイト、君の負けだ。聖、ホテルはこれから茶番劇が行われる。お前も出席してしっかりと母親を補佐すること」
「あなた、卒業後は、もう決まったの?」
「決まったよ。あの旅館に決めた。元々その気はあったが、母さんのことがあった。母さんの事は父さんに任せて父さんにアメリカに残ってもらう。母さんは、いつかはオーナーになるんだろ」
「何年かは指揮を取るけど、任せれる人を育てる。人選は、おいおい決める。健作さんがいてくれると心強いの、手伝ってくださいね」
「こんな美人に言われたら、仕方ない。一時帰国はするが、こっちに戻って君の為に働くよ。その前にアメリカの弁護士の資格を取得させて頂きます」
「はい、どうぞ働きながらは大変だろうから、養ってあげるわ」
それから、一行は、ホテルの買収に揺れるボールドホテルに向かう。古参の役員は、黙って時を待っているが、比較的新しい役員程、カークに寄って何事かを話すが、当のカークは、不適な笑顔で、自信にみなぎっていた。その横に腰巾着のように座っているシェフ長のアダムがいた。
奥の扉が開く、入ってきたのは、クリスとリックとジャックだった。3人は広報部の席につく。最後に出て来たのはセドリックオーナーだった。
全員が席を立って迎える。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます