園路ー策略の花街
第2話
春蘭は、王宮の裏庭を抜けて馬舎で待ち合わせていた馬を舎人に出して貰った。
「馬に乗れない人ー?」
玉露と咲、花梨が手を挙げた。
えー、四人乗りは無理ですー、と春蘭はむー、と唸る。
「私と黄の馬に一人ずつ引き受けましょう」
春蘭は、後ろを振り向き、あ、と目を輝かせた。
「お久しぶりです、陛下。この度は同行を任命されまして、こちら私の腹心の部下の黄紅焔。荷物持ちをさせますので」
よろしくお願いします、と黄が会釈する。
そこへ城下から清良、瑠記、兢、唯、風虎が合流した。
風虎は一途を見るなり、兄さん、と駆け寄っていく。
「宰相様に呼ばれてね、同行してくれって言われちゃったよ」
「一途がいるなら安心だな、取り敢えず馬に乗れる者と乗れない者で相乗りしよう」
春蘭の案で、自分の馬のある者はそれぞれ自分の馬に乗る。
黄には、荷物運びという大役があるため、一人で乗るよう指示を出した。
春蘭、兢、一途、唯、清良、瑠記、風虎は馬に乗ったが、咲、玉露、花梨が不安そうに見上げている。
「咲、おいで」
春蘭は咲に手を差し伸べると、咲を自分の馬に抱き上げた。
兢は、玉露の手を取ると、お前は俺の馬に乗れ、と抱き上げる。
花梨に、兄の清良が手を出すと、唯がそれを遮った。
「女の子同士仲良ししよ!」
「あ、はい、お願いします!」
キラキラと輝く笑顔を向ける花梨を唯は、よいしょ、と抱き上げる。
一ヶ月の準備期間を経て、一行は世界を巡る旅に出た。
もちろん全員、民衆と同じ平素の服装で。
裏の城門から城下に下りる、昼下がり一行は旅に出発した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます