第3話残酷な運命

 そばにいて幸せだったのは、ほんのわずか。


 晃さんの妹の死。

 悲しみの最中、慰めてくれる女の人の存在。

 愛し合っていく晃さんと恋人。


 わたしが隣で笑っていたかった。

 慰めて、支え合って、一緒に笑い合える人生を送りたかった。


 晃さんの口から、わたしの名前が出ることはなかった。


 悲しくなって、ほんの一瞬、そばを離れたその隙に、晃さんが交通事故で、わたしの目の前に現れてしまうことになった。


 もし、わたしが、そばを離れず、天使としての役目を守り、晃さんを守っていたら。


 後悔が押し寄せる中、晃さんがわたしに向かって言った。


「まだ生まれ変わってなかったの?優子ちゃん」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る