第20話 ロボットの暴走を止められる

「魔法ランドがつぶれてから三年もたつんだ。そろそろコンピュータが故障してもおかしくはない」とバルクが言った。

「たった三年で?」

「三年も経てばコンピュータだって故障するだろ」

「いや。今のコンピュータはそんなに簡単に故障しないはずだ」とパズルは首をひねった。

「じゃあ、どうして誤作動をするんだ?」

「誰かがコンピュータをいじくったとしか思えない」

「誰かここにいるの?」そう言って僕はふと思い出した。「あっ、そういえば、さっき、広場のサーカスの天幕から女の子がのぞいていた」

「女の子? まさか」とバルクが鼻で笑った。「わざわざこんなところへくる物好きなんて、おれたちみたいな廃墟探検の人間ぐらいしかいないだろ」

「いいや。もう一人いる。もう一つ別の目的を持ってやってくるやつが」とパズルが一人ごちるように言った。

「それって何?」と僕は訊いた。

「ところでここは一体、どこなんだ?」とバルクが僕たちの会話を打ち切った。

 僕らは洞窟の内部を見回した。洞窟は広く、壁も床もコンクリートで、白線と黄線が縦横に引かれていた。従業員が園内の保守や整備のために使う通路のようだった。通路の先は薄暗くて、よく見えなかった。

「さあ、いつまでもこんなとこにいてもしょうがない。とっとと魔法ランドからおさらばしようぜ」とバルクが焦れったそうに言った。「ロスト・ゾーンに戻るわけにはいかないからな。この先へ行くぞ」と奥へ顔をやった。

「セブを救いに行かないと」と僕は言った。

「おいおい冗談言うなよ。あんなとこへ戻ったら、間違いなくモンスターの餌食になっちまうだろが。それにあんな高い所から落ちたんだ、無傷じゃすむまい。へたしたら死んでるよ。それにジャングルにはモンスターがうようよしてるんだ。今頃そいつらの餌だっていうの」

「なんてことを言うんだ!」

「おいおい、おれは本当のことを言っただけだぜ。そんなに戻りたきゃ。お前らだけで戻れよ。おれは一人でもこっちへ行く」

 そう言うと、バルクは通路を奥へ歩いていった。パズルが僕の肩に手をかけた。パズルは周囲を見回しながら言った。

「ここはどうやら従業員用の通路みたいだ。ということは、きっとどこかで中央制御室と繋がっているはずだ。そこへ行けば、ロボットの暴走を止められる」

「そんなことしている間にセブがモンスターに……」

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