おひなさまクエスト2。ドラゴンへの凸凹道
土岐三郎頼芸(ときさぶろうよりのり)
ドラゴンへの凸凹道
(本作は『おひなさまクエスト。A級冒険者たちのひなまつり!今回のミッションは伝説のおひなさまの生け捕り⁈』の続編となっております。)
https://kakuyomu.jp/works/16818622170440930739/episodes/16818622170444813551
モッコ・ド=アラゴンは
モッコには夢があった。
早く一皮
ドラゴンそのものになること。
モッコはドラゴンにあこがれていた。
言い伝えでは天空のどこかにあるという天空竜の城に行けば
それには、いま目の前にいるロック鳥のヒナ『お
だからこそ、モッコはアラクネのコマチ・ネネとドワーフのヨーイドンのQPコンビとパーティーを組んだのだ。なのだが……
「ひいいいいいいいいいいいいい!」
ティラノサウルスの姿のモッコが命がけでひた走る。
ゴオオオオオオオッ! ゴオオオオオオオオオオオ!
ティラノサウルスの倍ほどの大きさの巨大ヒヨコ『お雛様』が、モッコを追いかけながら吠える。いや、単純に鳴いているだけだがこの巨体では鳴き声はピヨピヨにはならず、もはや雷鳴か嵐である。
『お雛様』にとっては巨大な肉食恐竜ティラノサウルスもただのエサにしかみえないのだ。モッコの背中をついばもうとくちばしから頭を振り下ろす。
ガゴオオオオオオオオオオオン!
轟音が響き渡り、とあたり一面土埃が舞う。
「死むうううううううう! 死んじゃうううううう!」
ミス!
モッコは『お雛様』の攻撃をギリギリ横っ飛びに転がってかわした。モッコは泣きながら立ち上がると全力疾走する。
ゴオオオオオオオッ! ゴオオオオオオオオオオオ!
逃げたモッコに気付いた『お雛様』が再び追いかける。
「助けてちょおおおお! 限界だおおおおお!」
『お雛様』とリアル鬼ごっこ中のモッコがべそをかきながら叫んだ。
「おいの『マジック・
自分の作業を終えて、ビーチチェアに寝っ転がってくつろいでいるドワーフのヨーイドンがこたえる。あたりにいくつも並んでいるコンクリートっぽい巨大な直方体やら球体がヨーイドンのスキルの成果だ。
「あとどんだけ~~~!」
「3分ほどたい」
「
「おおおお、時間を止められそうな、ふとかパワーを感じるたい」
「止めないで! むしろ進めて!」
「いと
やはり、ビーチチェアに寝そべっていたアラクネ美熟女のコマチ・ネネが眉間にしわを寄せて起き上がり、サングラスをずらしてモッコをにらむ。
「ただ、寝転んでるだけでしょうが! なんとかしてちょおおおお!」
「トリのエサの
「いま、エサって言ったあああ!」
「すまぬ。つい本音が漏れたぞよ」
「ノオオオオオオオオオ!」
「世話が焼けるのう。ほれ、
ぶちっ。 どすん。
コマチ・ネネの魔糸がモッコが変身しているティラノサウルスの尻尾を切断した。
「いってええええええええええええ!」
どったん、ばったん、どったん、ばったん
切り離されたティラノサウルスの尻尾はまるで怒り狂う大蛇だ。ものすごい勢いでビクンビクンと大暴れしている。『お雛様』はその跳ね回る尻尾を興味津々で見つめて、ちょっかいだしては後ずさっている。
その隙に、モッコは元の姿に戻って尻を抑えながら逃げてきた。
「オレの尻尾おお!」
「しぇからしか! 死ぬよかましたい!」
「あな
「痛いもんは痛いんだよ! それに俺はヤモリじゃねえ!」
「同じようなものじゃ。さて、そろそろ
「おお、ちょうどマジック・
「ふむ。では、参るぞ。魔糸がマシマシ、
アラクネの女王コマチ・ネネが両手を高々と差し上げた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、
ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン
ものすごい地響きを立てて、コマチ・ネネが魔糸を操りヨーイドンが作成したコンクリート材を組み上げていく。
ご、ごげ?
あっけにとられてくちばしをポカーンとあけたままの『お雛様』が見上げる視線の先に、身長およそ30メートルの太った巨大ゴーレムが現れた。
「ゆくのじゃ、ジャイアン・ゴーレム! 『お雛様』を捕まえるのじゃ!」
ま゛っ!
巨大ゴーレムは前かがみになって、恐怖で動けなくなった『お雛様』を抱き上げた。
「身柄確保じゃあ!」
「ほいじゃあ、暴れないように普通のオッジ・サンダー⚡」
ヨーイドン王子が頭上で二つの金槌を2度軽くぶつけて雷撃を作り、それをゴーレムの魔糸経由で『お雛様』に流した。
ゴゲエエーッ!
『お雛様』は失神して動かなくなった。
「あとはおいたちみんなで、『お雛様』と従魔契約をするばい」
「序列はどうすんだ?」
「きまっておろう。功労者順じゃ。第1位が妾で、第2位がヨーイドン。囮で逃げ回ってただけのモッコは第3位であろう」
「高齢者順じゃないのか?」
「かべちょろは
「モッコはほんとにバカたい」
「う、うそです! なんでもありません! おっしゃる通りで結構でございます!」
「いとよろし」
こうしてA級冒険者パーティーQPsの面々は、モッコの尻尾(再生可能)という犠牲を払いつつも、無事『お雛様』と従魔契約を結びテイムできたのだった。
だが、この後に起こる大問題には誰も気づいていなかった。
おまけ
「ところでモッコよ。お主の尻尾、コカトリスのナゲットといっしょに妾の
「いらねえよ! そんなモノ!」
「左様か。もったいないのう、要らぬなら
「おいも欲しかと。ドラゴニュートの革はよか防具になるとよ。それに尻尾の肉も食えるんじゃなかと?」
「食えないから! 俺の肉には毒があって食えないから! 仲間を食料にするんじゃない!」
「使えん奴たい。ならば皮だけ貰うたい」
「妾は先っちょだけ頂くぞよ」
「コマチ姐さん、なにに使うんだ?」
「あのビクンビクンの具合が妾に丁度よさげでのう」
「俺の尻尾をなにに使う気なんだよお!」
「閧ゥ縺ョ繝槭ャ繧オ繝シ繧ク縺倥c縺鯉シ」
「文字化けしたー!」
「ふう。モッコは考え過ぎたい」
『おひなさまクエスト3。『お雛様』の罠』につづく
https://kakuyomu.jp/works/16818622170762840820/episodes/16818622170762998211
おまけのおまけ
ヨーイドンのイラストはコチラ
https://kakuyomu.jp/users/TokiYorinori/news/16818622170455557686
モッコのイラストはコチラ
https://kakuyomu.jp/users/TokiYorinori/news/16818622170518015585
コマチ・ネネのイラストはコチラ
https://kakuyomu.jp/users/TokiYorinori/news/16818622170664038837
お雛様とティラノサウルスとゴーレムの大きさの比較イラストはこちら
https://kakuyomu.jp/users/TokiYorinori/news/16818622170711300780
おひなさまクエスト2。ドラゴンへの凸凹道 土岐三郎頼芸(ときさぶろうよりのり) @TokiYorinori
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます