大体、自分には劣等感すらない。
焦り、みたいなのは否定できない時もあるんだけど、良くも悪くも「人は人」過ぎて。
私鉄として走っている車両は、JRの車両を見て、羨んだり、自分もJRにならなきゃ、なんて思ったりしない。のと、たぶん、一緒。
だから、正社員として、店長として、そして次期エリアマネージャーとして期待されている直貴に対して、スゴイネェというありきたりな感情を抱いておしまい。
ただ、彼も彼で24歳、同期で結婚していく人がでてきたなんて話をちょこちょこするようになった。私とのことを意識してるのか、と思ったりはするものの、そもそも正式な交際の契すら交わしてるか微妙な関係だ。
基本シフトは被らない、狙って合わせられるのは週末の夜勤くらい。例えば今日とか。
シフトが被らないから、休みも被らない。そう調整しているのは紛れもなく直貴自身なのだけど。
人手が足りない、この日出れるのが蒼子しかいない、そう言ってことごとくすれ違う日々。
それでも休みが被った日にはお出かけもするし、セックスもする。だったらそれはもう、そういうことじゃん、と、私は思っている。
「あ、そういえば、明後日夜勤出れる?インフルになったってさっき連絡来てた。」
「夜勤は週末だけで、お願いしまーす。」
レジ下に置いてあるシフト表を見ながら、そっけなく返事をする。インフルになった人は週1しかバイトに来ない人だ。穴埋めはこの1日だけでよさそう。
店長はバツが悪そうに襟足をかき、俺かぁ、と呟く。そんなことされて、出ます〜なんていうほど私はやさしくな
「29時まででもいい?」
「朝番に交渉します!」
「その日の朝番は店長だよ(笑)」
い、はずなんだけど、なぁ。
呆れる。
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