1週間と6日

第14話

僕が死んで、1週間と6日。


どこかで心臓が鳴る音がした。

静かに微笑む幸せの色が見えた。


「体調はどう?」

「うん、もうすっかり大丈夫だよ。」

「そっか。もうすぐ、退院できるって。良かったな。」

「うん!」

「久しぶりだな、こうやって笑って桜の季節を迎えるのは。」

「そうだね、それも全部この心臓のおかげだよ。」

「感謝しないと、な。」

「ねぇ、お兄ちゃん?」

「ん?」

「この心臓をくれた人ってどんな人なのかな?」

「うーん、そうだな。きっと、素敵な人だよ。」

「うん、そうだね!この心臓をくれた人とその家族に幸運が訪れますように。ほら、お兄ちゃんも祈って。」

「さくらが、これからもずっと長生きできますように。」

「違うよ、この心臓をくれた人とその家族にだよ。だって、さくらはずっと長生きするもん。それは祈らなくても決まってるの!」

「それは、心強いな〜。」


こうして、僕の大切な人の幸せを祈ってくれる人がまた一人増えた。

何が正解かなんてわからないけど、


これで良かったんだよね。

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