5日目
第9話
僕は、僕の部屋にあがる。
あの日のことを思い出す。
持ってる教科書をぜんぶビリビリに破いて、カッターで切り刻んだ。
部屋中のものを床に投げて、ぐちゃぐちゃにした。
母の声も、弟の声も、僕の耳には届かなかった。
僕が学校を休んだことを心配して美咲が家にきた。
「駿太、駿太!!やめなよ!!お母さん、泣いてるよ」
「うるさい!!もういいんだ、全部!どうでもいいんだよ!!もうどうしようもないんだ。」
「大丈夫だって、なんとかなるよ。今投げ出したら、今までの全部が無駄になっちゃうんだよ」
「無駄だったんだよ、全部!!」
僕はそう言って部屋を飛び出した。
僕が告白しようとした日、先輩が友達と話していた事を思い出す。
「むりむり、ないって。あんなヤツ。あいつ、うちらの大学落ちたんだって。」
「私、バカとは付き合えないから。」
ショックだった。
先輩は、僕のことを見てくれていると思っていた。
偏差値とか、評定とかじゃなくて僕のことを見てくれている人だと思っていた。
だけど、違った。
みんな結果しか見てくれない。
それがすべてだった。
僕がどんなに頑張ったかなんて、そんなのはどうでもいい。
結果を出せなかった僕が悪いんだ。
絵画教室で、先輩と出会った。
先輩は、僕の絵を褒めてくれたし、話もたくさん聞いてくれた。
僕は、先輩と同じ大学を目指そうと決めた。
けど、親は別の大学に行ってほしかったらしく喧嘩になった。
僕は僕の気持ちに折り合いをつけることができなかった。
受験する大学が決まらなくて、焦った。
勉強したいのに、できなかった。
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