2日目

第4話

僕が死んで2日目。


ぼっーと病院院内を歩くと小児科につく。

すれ違う子どもたちを見て思ってしまう。

元気そうに見えるのにこの子達はもうすぐ死ぬのかな、と。

そして、またこう言われるかもしれない。


「いいなぁ、お兄ちゃん、大人になれて。ねぇ、その体。僕にちょうだい?」


僕は立っていられなくなるほど、胸が締め付けられた。

どうしょうもなく、苦しい。


「お兄ちゃん、健康なんでしょ?」


気づいたら僕は病院の外にいた。

荒れる呼吸と、うるさく鳴る心臓の音を聞いてここまで僕が走っていたことに気づく。

そして、心臓から音がしていることに安心する。

病院にいるとどうしょうもなく胸が苦しくなる。


そこには僕が持っている当たり前のものをすごくうらやましがる人がいて、

僕が簡単に手放してしまったそれを大事に大事に抱えて生きてる人がいた。

そんな人たちを見て、僕は何を感じればいいのか、なんて言ったらいいのか、分からなくなった。

僕が持ってる言葉じゃ足りないくらいのなにかに飲み込まれてしまいそうで苦しかった。

ここから、早く出たい。

僕はとにかく早く病院の敷地内から出ようと、急いだ。


「また、逃げるんか?」


振り返ると、そこにはおじいさんが立っていた。


「そうやって逃げてどうするんだ。」

「うるさい、お前には関係ないだろ!」

「あぁ、関係ない。関係ないよ、ちっとも。だから、こんな老人の言うことなんてさっさと無視して行けばいいじゃないか。それが、お前のしたいことならさ。」

「あぁ、そうするさ。」


そう口では言ったのになぜだか体は動かなかった。

ここで、逃げちゃいけないと本当は気づいていた。


「案内してやる、ついてこい。」

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