第2話

「いたのなら、もっと早く教えてよ」




驚いちゃったよ、と呟きながら、キミは笑ったね。


今にも消えちゃいそうな、優しくて儚いその笑顔に、わたしは思わず、手を伸ばしたの。



消えないで、って。




キミは今度こそ目を真ん丸にして、驚いてた。





それからまた ふ、と目を細めて笑って、



「なにしてるの?」



って聞いてきた。




わたしは大きな声をだすのが苦手だし、もっとキミの近くにいなくちゃ、キミがどこかへいってしまいそうで、



「こっち、もっと、来て…ください」



苦手な日本語で、頑張って伝えた。




キミはまたちょっとだけ驚いて、でもちゃんとこっちへ来てくれた。




「日本にきて、どれくらいなの?」


また、キミが聞く。




「2年、だよ。でも、マキ…あ、お母さん、から日本語、習ってたから、」




「うん、上手」



キミが褒めてくれたから。わざわざ煙草を持ち替えて、頭をなでてくれたから。嬉しくなって、頬がゆるんだ。




「お父さんが外人さんなの?」


「うん。フランス人、だよ」



「お、Je parle aussi le francais」




今度はわたしが目を丸くする。


でも、なんだか嬉しかった。


だいすきな優しいフランス語を、キミがほんとうに優しく話すから、わたしはもっともっと、フランス語がだいすきになったの。

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