第2話
窓の外。思わず目を細めてしまうほど明るい日差しの下。そこで私は物思いに耽っていた。
雨が綺麗とか、曇り空が綺麗とか、私には分からない。そこにあるのは諦めで、前に進むことを拒んでいるように感じてしまう。それでも、晴れを、星空を疎ましく思うのは、いつか見た理想論を映しているからなのだろうか。そしてきっと、そう思っている限り、私は変わることは出来ないのだろう。
ふと、居なくなってしまった彼のことを思う。私は彼のことが好きだったのか。...分からない。クズな自分に嫌気が差す。ただ一つ確かに言えることは、私は彼と一緒に居たかった。彼と一緒に過ごせれば、それで良かったんだ。夢も、愛も、この心の中にはどこにもない。それでも、届かなくても。
「私は今でも、あなたのことを想ってる。」
言葉は宙に舞い、そして消えていく。あなたに届くことのない、届かなくていい思い。
「だって、あなたは強いから。」
私は彼のようにはなれない。か弱く、醜い人間だ。何度も変わりたいなんて願った。願うだけで、何もしてこなかった。初めて諦めたあの時から、私の時は止まっていた。歩み始めることでこんな自分を変えられるなら、一歩ずつ、晴れへ、星空へ向かって独りで歩いていこう。
理想論 @Kayaamata
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