第3話

高校二年生の春。


あたしは恋をした。


相手は一つ年上、三年生のエータ先輩。


整った綺麗な顔に栗色のフワフワな髪。


いつも柔らかな微笑をたたえたエータ先輩は、喋り方もゆったりしていて、甘い雰囲気を纏ってて……。


ユキちゃんがアイドルに例えるのも頷けるくらい、女子に絶大な人気がある。


だけど、そのエータ先輩には溺愛する彼女がいるってのも有名な話。


そんで、彼女の名前が『ハナちゃん』って言うのも有名な話。


他校に通ってるらしい『ハナちゃん』がどんな人なのか、あたしは見たことない。


だけど、噂では小柄で、目が大きくて、エータ先輩と同じ栗色の長い髪の可愛らしい女の子、らしい。


あのエータ先輩が溺愛するくらいだ。


とっても可愛らしい人なんだろう。


エータ先輩に想われるって、どんな感じなのかな?


エータ先輩に大切にされるって、どんな感じなのかな?



「はぁ、『ハナちゃん』になりたい……」


「ほんと、不毛な恋よね」

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