第4話

この、不毛な恋の始まりは、1ヶ月程前だった。


2年生に進級して間も無い、春の事。



と言っても、一目惚れとかじゃない。


一年生の頃から、エータ先輩の存在は知ってた。


凄く目立つ人だし、いつも噂の中心で、校内で知らない人なんていないくらいの有名人だったから。


だけど、その頃のエータ先輩には、あまり良い噂はなかった。


エータ先輩はあり得ないくらい綺麗でカッコ良くて、魅力的なのに、ツンケンした感じが全然無くてとても愛想がいい。


誰に対してもにこやかに話すから、もしかして私でも……?なんて淡い期待を抱いてしまう女子も少なくなくて、しょっちゅう告白されまくってた。


普段はその告白も断ることが多いのに、何の気まぐれか、


『縛られんの嫌いだし、本命作る気ないけど、それでもいいならいいよ?』


なんて答えちゃうことが、ごくたまにあるらしい。



その答えを期待して2度、3度とチャレンジする強者もいるほどだった。

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