6章:堕天使な若旦那様

第102話

【辞任・追放・金我事件】(命名)は最後は意外と呆気なかったが無事に決着し、ようやく平穏な日々を取り戻そうとしていた。


 皆が労働している、とある平日の日中――


「じゃ、散歩してきまーす」

「アホ! 仕事の使いだろ!」


 メイクを施し薄ピンク色のワンピースに着替え、まるで遊びに行くかのような軽い挨拶をしたが見事に注意を受けてしまった。


 決して遊びに行くわけではなく、ビレッジ内のテナントに入っている呉服店でイトカの着物の新調と、各店舗に顔を出すのが目的。

 もちろんそれは婚約に伴ってのもの。


 城外のバルコニーから大衆に手を振って……とはいかないため、セレブ達とお近づきも含めての挨拶まわりだ――


 1軒目の呉服店では奥へと通され座敷の部屋に招かれると、さっそくと言わんばかりに数種類の着物が登場。

 イトカは暫し堪能しながら最終的に縹色はなだいろに決め、着付けまでしてもらい外へ。


 その足で立ち寄ったのは以前、社長から頼まれて味の感想を素直に答えた高級和菓子の店。

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