第92話

朝早くから始まった総会は数時間にも上り、ようやく終わったのは昼をうに過ぎていた。


「シバ社長ッ」


 疲れ切って戻ってきた社長を見るなり、今にも泣きだしそうな顔で勢いよく駆け寄ってきた鮫島。


「なんて顔をしているんだ、鮫島……」

「ですが貴方が心配でッ」


 慌てふためく鮫島に『ひとまず珈琲を淹れてくれ…』と頼み、グッタリした様子でデスク堰に腰を下ろし大きな溜め息と共に頭を抱えている。


「はぁ……今日ばかりは本当に疲れた。説教ばかりは懲り懲りだ。こんなのはもう御免だな」

「お疲れさまでした……社長」


 逸る気持ちを無理に抑え平然を装って珈琲を置く鮫島に、社長はようやく本題を伝えた。


「お前にも心配を掛けてすまなかった。俺はもう大丈夫だ」

「それはつまりッ 社長は辞めずに済んだという事でしょうか!?」

「あぁ……そうだな。金我様とはまだ話していないから完全に全部終わったとは言えないがな」


 『それでも良かった』と涙を浮かべ安堵する鮫島。


「あとは木瀬についてだが……そういえばあいつはどうした?」


 彼女の姿が見えない事に不思議に思い鮫島に問い掛けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る