第81話

鮫島の社長を思う気持ちが強く表れていて胸が締め付けられた。


 『社長が食事も喉に通らないほど悩んでいるのは私が苦ませているせいだ』と……目が覚めるってこういう事なんだとハッキリと実感。


「シバ社長の体調が私はとても心配……。ずっと悩んでいるみたいですし……」


 『どうしてくれるんですか』と言いたげなニュアンスを感じ取る。


「大丈夫です。社長を守りますのでご安心ください」


 鮫島からすれば根拠のない”大丈夫”にしか聞こえないが、イトカはしっかりと決意を固めていた―――――――




 ――――その夜。



「はぁー……疲れたな」


 真っ暗で静まり返った自宅へと帰ってきた社長。気疲れからか、その足取りは重たく普段はほとんど言葉にしないのに、思わず『疲れた』と溜め息が出るほど困憊しきっていた。

 ネクタイを緩めながら気怠そうにキッチンへと足を進めるが、なぜか灯りが点いている。


「木瀬か?」


 姿は見ていないがすぐにわかるのは……当たり前。


 イトカと違い、この豪邸には社長とイトカの2人しかいないのは百も承知だったから。

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