第69話
社長の豪邸に居候を始めて3か月。全体的な空間の広さには慣れないが『食事をしっかり摂れ』との社長命令から、台所を借りて自炊をするようになった。
―――日曜
その日は珍しく社長も仕事が休みで、自宅でのひと時を過ごしていた。
「お前それ、まさか……」
「ん? ドーナツですけど?」
『見てわかりません?』と首を傾げながら手作りしたドーナツを見せてくるイトカに、社長は憎悪の眼差しを注ぐ。
「絶対ワザとだろ。悪意しか感じないぞ」
「やだなぁー社長ったら。婚約者としての愛情ですよ、愛情。甘いモノ食べて少しは優しくなってくださいよー」
『俺を殺すつもりだな』とブツブツ言いながら珈琲を飲む社長に、『デザートにどうぞ』なんて嫌味を言いながら穏やかに平和そのものなやり取りをしていたのに。
テーブルに置いてあった社長の携帯が震えた――
「……またか」
着信相手を確認すると急に顔をしかめ、そう言い残し携帯を持ったまま台所を出ていってしまった。
こんな事が数日の間に度々ありその都度、社長の様子が妙な事にイトカは胸騒ぎを覚えていた―――
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