第68話

「マシって……仮にも婚約者に対して失礼すぎじゃありませんか」

「”馬子にも衣装”だと褒めてる方だ」

「それ褒めてませんから。むしろバカにしてますよね」

「だったら見合う女を目指すんだな」


 くだらない事で言い合う2人を着付けの担当者と鮫島は、目を合わせて苦笑。


 イトカが社長の元に来て早3か月。この頃の2人はお互いに慣れてきたのか

コントのような会話の日々。始めの頃と、さほど変わらないようにも見えるが

環境と心境の変化にどちらも気を許し始めていた。


「突然婚約したかと思えば最近は更に仲良くなっちゃって。本当に腹が立ちます」


 社長がドレスの購入手続きで席を離れると、鮫島はイトカにポツリ。


 社長を密かに想っている鮫島にとってイトカがアシスタントとして働いているのさえイヤなのに、居候の挙句、婚約までした事実を目の当たりにし腹立たしさを誰にぶつける事も出来ず苦悶していた。


 イトカ自身もそんな鮫島の気持ちには気付いていたため、複雑な思い。

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