第45話

「待てお前……ここに来てから今まで、いつも何を食っているんだ?」

「何って……コンビニのおにぎりとかですけど……」

「コンビニ!? って、この敷地内にはないだろ!」

「ないですよ。離れた先まで買いに行っていますし……」


 『そんなに驚きます?』と社長の反応が疑問でしかない。


「キッチン使って自分で作ったりレストランでもバーでも、ここならいくらでも飯には困らないだろ! どうして利用しない!?」

「どうしてって……そんなの無理に決まっているじゃないですか。社長の台所を使うのは悪いですし、この街はお値段がお高すぎてとてもじゃないけど庶民の私には手を出せません」


 『だから金持ちは価値観が違うから困る』と半ば呆れてしまうイトカとは裏腹に、『信じられん…』と目を見開いたまま硬直していた社長だったが、急に真剣な表情に変わり。


「ちょっと待ってろ」


 そう残し、部屋を出て行ってしまった。


「もしかして何か買ってきてくれるんじゃ……タダ飯ならラッキー」


 呑気に喜びつつベッドに横になっているとウトウトと睡魔に襲われ始め、社長の戻りを待たなきゃいけないのにいつの間にか眠りに就いていた―――

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