第3話

建物内は広すぎて複雑すぎて、会議室だけでも幾つもあって地図がわかりづらい。


 『たぶんきっとココだ』と根拠も理由もない勘状態で一室に飛び込んでみたが、誰1人としていない。


「あー……違ったか。でもすごい……」


 間違ったとわかりながらも壁一面の窓から見える景色の眺めの良さに、つい圧倒し見惚れてしまった。

 すると突然、会議室の扉が開きゾロゾロと60代~70代くらいの男性が数名入室してきた。


 『しまった!不法侵入者に思われる!』焦ったし困ったしで事情を説明しようとしたのだが―――


「会議を始めるので、全員、席につきなさい」


 物々しい雰囲気の中、1人の年配男性の合図で無言でそれぞれに円になるように着席する他の人達の流れで、なぜかイトカも席に座ってしまった。

 

 秘書らしき中年の女性から配られた資料。”テナントの客層と業績、今後の経営について”素人のイトカにも理解出来る。この会議に出席している彼等は皆、テナントで働く店舗を経営する社長達。


 それはつまり、会議の内容は機密事項。間違いとは言え、決して居てはいけない場所。

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