第26話

一年に一度、満点の星空の中に美しいオーロラをコラボレーションさせる特別上映。

今までなかなか行けなくて、私が帰ってきたら絶対観ようって約束して前売りチケットを買った。

もう私は行けない…。

でも時間はちゃんと流れているんだよ。

前に進まなくちゃ。


しかし彼は突然頭を抱えて発狂した。

受け止めきれなかった悲しみが暴走したのだ。

頭を抱えテーブルの上の写真を払い落とし、食器や鏡を叩き割る。

私の死を認めさせることが、逆効果になってしまった。

次々と家の中を荒らして、何かを探すように部屋をフラフラ徘徊しだす。

きっと私を探しているんだ。

ついに彼は壊れてしまった。

声を失った彼の苦しみが物音を立てて悲しくも響く。


ごめんなさい…

ごめんなさい…


私はあなたを救いたかっただけなの…。

お願い…もう止めて…。

強くなってよ…。


私が彼を止めようと裾をくわえたが、彼には私が見えていない。

力では敵わず、引きずられるだけ。

次第に加える力も尽きてきて、私は部屋の角に飛ばされる。

衝撃で私は目が霞んでいく。

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