第22話
最後に写真を置いておいたのは寝室。
二人とも大好きなオーロラが広がった絵の前。
二人でいつかこんな空を見たいねって言ってたけど、なかなか行けなかった。
その代わり絵を飾っていつかこの綺麗なオーロラを見にカナダに行く事を夢にしていた。
だけど私の留学が先に決まってしまったから、帰ってきたら絶対に行こうと約束をしてこの絵の前で写真を撮った。
-ごめんね。約束をしたのに守れなかった…。だけど貴方はどこへでも行ける。閉じこまらないで。自分の人生を生きて…。-
彼は最後の写真を見つけて、目を丸くして私を見る。
そして写真を抱き抱えたまま、私の側に近づき震える手を伸ばす。
その時、訪問を知らせるチャイムが鳴った。
ピタリと止まる彼の手。
さっき彼は今何か言いたそうだった。
私の計画は成功したのだろうか。
彼が少しの間ジッとドアを見つめていると、もう一度チャイムが鳴る。
彼はゆっくり動き出した。
写真を抱えたまま玄関に向かう。
また望実だろうか。
一度親友を憎んでしまった以上、正直顔を合わせづらい。
しかしドアを開けた先に待っていた人物達に私の心も大きく動揺する。
「こんにちは。聡一さん。」
訪問者は私の両親だった。
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