第19話

-昨日は久しぶりにゆっくり眠れた気がする。

あの真っ白な猫が来てくれたおかげかな。

鈴に会えないのが淋しくて声も出なくなるなんて、情けないと分かってる。

鈴が留学したらそんなの分かってたことじゃないか。

一年の我慢だった。

でも会えないのはやっぱり淋しかった。

ようやく期間を終えて帰ってくると思ってたのにまだ知らせが来ない。

鈴、どうして連絡してくれないんだ?

俺は毎日不安なんだよ。


その時、玄関で物音がしたことに気づいた。


もしかしたら鈴が帰ってきたのかもしれない。

俺はベッドから飛び起きた。

他のものには目もくれず、まっすぐ玄関に向かう。

しかし鈴の姿はなかった。

変わりにドアの前に猫が座って、楽しそうに尾を揺らしている。

おいで。

手招きしても動かず、ひと鳴きする白い猫。

何か言いたいことでもあるのだろうか。

俺はしゃがんで猫に目線を合わせてみた。

なぜかそうするべきだと思ったのだ。

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