契約五日目

第18話

そして次の日、ある訪問者によってついに彼の運命が前へと進み始める。


その朝、私は彼が眠っている間にそっと寝室を抜け出した。

テーブルの上には夕べ彼がまた思いでの写真を眺めていたままになっている。

彼はまともに見えるけど、かなりのギリギリな精神状態だと思う。

きっと毎晩同じことを繰り返している。

現実から逃げて心がとじ込もってしまうのを無意識に望んでいるようだ。

私はテーブルの上に乗り写真を覗く。

そしてあることを思い付いた。

これで本来の彼に戻ってくれればいいのだけど…。


すべての準備が完了すると、まずどうやって気づかせるか考える。

私は玄関に向かうとドアノブにジャンプしてしがみついた。

重みでノブが下に下がる。

しかしもちろん鍵がかかっているのでドアは開かない。

私は鉄棒にぶら下がっている状態だった。

さすがにこの手では掴みにくく、滑った私は尻餅をついた。

きっと猫がいたら笑われるんだろうなぁ。

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