第17話

部屋に入った後、深いため息を一つ。

そして、心配になったのかもう一度ドアを開けて、頭だけ出し左右を確認した後ドアを閉めてまた安心のため息。

私はこんな挙動不審の彼を見たことがない。

口があったら絶対に笑ってしまうと思う。

そしたら彼は冷や汗をかきながら『そんなに笑うなんてヒドイな。』って照れくさそうに笑うんだ。

その夜、彼は私と一緒に少しだけどご飯を食べてくれた。

しばらくほとんど何も食べていなかったせいか、すっかり痩せてしまっている。

このままでは彼の身が持たないのではないか…。

私にできることはないのかと考えていると、彼が私の首に何かを付けた。

窓に映って見たそれは私の白い毛並みによく映える赤いリボン。

首元にはハート型オーナメントの中心に鈴の入ったチャームがついていた。

もしかしてさっき彼が買っていたのはコレ?

嬉しそうな彼の顔。

あぁ、なんて愛しい…。

しかし彼が鈴をつけてくれたのは偶然か、それとも…。

その夜、私と彼はベランダから星を見上げた。

山の上じゃないし、町の明かりが灯ってるからあまり見えないけど、それでも二人でよくこうしてたっけ。

ずっとこうしていたいよ…。

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