第16話
なぜ私が姿は違くても戻ってこれたのか分からなかったけど、少しだけ分かった気がする。
この与えられた奇跡を無駄にしてはダメなのだ。
『アト二日…』
私の耳にあの声変わり聞こえてくる。
そう、私の奇跡はあと残りわずかで終わってしまう。
でももう私の中でその先の選択は決まっていた。
帰り道私と彼は賑わう商店街を歩いた。
こうやっているとまるでデートしているみたいで何だか嬉しい。
そんな風に思ってるのはきっと私だけなんだろうな。
その時、ふと彼の足が止まる。
彼の目線の先にはサングラスをかけ、レザージャケットを羽織った女性がトランクを広げて座り込んでいた。
どうやらアクセやら小物を路上販売しているらしい。
彼はトランクの前でしゃがんで、何やら手にとって見ているようだ。
店の女性に景気のいい声で安くすると言われ、彼は嬉しそうに微笑んで手にとっていたものを購入する。
私からは死角になっていて何を買ったのかは見えなかった。
それから二十分ほどして彼のマンションに辿り着く。
彼は手前で私を抱き抱えジャケットの内側に入れる。
そして人がいないことを確認して足早に部屋へ戻った。
彼は真面目な人だったから、こうやってルール違反をするのはかなりの勇気がいるだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます