契約四日目

第14話

もういい…私の魂を戻して…。

地獄でも、どこどもいいから連れていって!

私はあの声に向かって叫んだ。

しかしあの声からの返事はない。

無我夢中で走り続けて、気づけば私は彼に初めて告白された海へ来ていた。


生徒と身近な存在になって、悩みや喜びにすぐ気づいてあげられる教師になりたいと言っていた彼に憧れて、何度か一緒に遊びに行く間にそれは恋心に変わっていた。

そしてこの場所で彼から好きだと言われた時は本当に嬉しくて思わず泣いてしまったよね。


それはもう遠い思い出…。

彼には未来がある。

きっとこの思い出も時が経つにつれて薄れていくのだと思う。

やっぱり私は戻るべきじゃなかったのかもしれない。

醜い心に染まる前に終わりにしよう…。

私だけでもこの思い出を抱いて消えたい。


ただ、最後にもう一度ここで太陽の光を浴びたかったの。

季節外れで誰もいない海。

朝日が昇るのを見届けると、私は一回深く深呼吸してゆっくり波に向かっていく。

本来水が苦手と言われる猫が自ら海に向かっていくなんておかしな話かも。

こんな時だけど少し笑えた。

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