契約三日目
第10話
次に目を覚ました時はもう次の日の朝だった。
目が覚めた私には気づいた彼は私に微笑むとミルクを持ってきてくれた。
喉も渇いてたし、お腹もペコペコだったので一気に飲み干す。
それを見た彼はまた優しく微笑んだ。
私も彼の笑顔に安心して、隣に座ってた彼の足にすりよる。
しかし私は違和感を感じ始めていた。
彼は笑顔を見せてくれるものの、いまだに一言も言葉を発していない。
元々そんなにしゃべる人ではないけど、何かおかしいのは明らかだ。
気づけばテーブルの上には散らばった数々の写真。
高校時代や二人だけの初めての旅行。
大学の文化祭、留学祝いのパーティー。
全て私と過ごした思い出ばかり。
そして数枚の服が乱雑に脱ぎ捨てられ、食器も洗われずそのまま。
相変わらずカーテンは引かれたままの薄暗い室内の中に閉まりきってない台所の蛇口からポタポタ落ちる水音と時計の針音だけが響いていた。
綺麗好きだった彼からはまるで想像できない。
私は必死で訴えた。
“聡ちゃん、しっかりして。私、戻ってきたんだよ。”
けれど私には猫の鳴き声しか出せなかった。
ひたすら鳴き続ける私にオロオロする彼。
どうしたらいいのか分からず、私を抱き上げ優しく撫でてくれる。
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