契約二日目

第7話

次の日、陽が上昇ってから再び走り出す。

少し休んだおかげで幾分スピードをだせた。

しかし彼の家に着いた頃はすでにお昼を回っていた。

表通りの一角に建つ6階建てのマンションで一番上の601号室が彼の部屋。

セキュリティロックの設備なので、他の住人が帰宅してきたのを見計らって、自動ドアが閉まるギリギリで滑り込んだ。

ここはペット禁制だから見つからないように気を付けないと。

人の気配に注意しながら階段をかけ上っていく。

ようやく6階に着き彼の部屋に向かおうとした時、突然彼の部屋の扉が開き、私は思わず隠れてしまった。

そして彼の部屋から出てきた人物に驚く。


「じゃあ、また来るから。…ちゃんとご飯食べてね。」


悲しそうな表情でドアを閉めたのは望実だった。

どうして彼女がここに…。

確かによく3人で遊んでいたけど、望実が彼の家に遊びに来たことなど一度もなかったはず。

いくら親友の彼だったからって家まで世話しに来るだろうか。

ショックを受けている彼を心配して?

ううん、それだけじゃない。

望実には他に理由がある。

私にはそれがなんとなく分かった。

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