第4話

何も親孝行できなかったな…。

先に逝ってしまった私を許して…。

私はそう叫んでしまいたかった。

でもニャーという鳴き声しか出ないことがより一層私を悲しくさせる。

私はその場をそっと離れる。


「ねぇ、聞いた?遺体はまだ見つかってないんだって。」


ヒソヒソと話す声が聞こえてくる。


「もう2週間でしょ?他の人は発見されたって言うけど…」


「なんでも遺留品だけ崖下から発見されたって…」


「遺体がないなんてご両親はどんな気持ちか…鈴花ちゃん、まだ若いのに可哀想…」


みんなが口々に私を哀れむ。

私はここにいる。

会いたい人の為に戻ってきたんだよ。

彼と出会ったのは高校だった。

二つ年上の彼とは天体部の部活が一緒で、優しい彼のことをすぐに好きになった。

玉砕覚悟で告白をして、両想いだったことを知った時は本当に嬉しかった。

そして私が大学3年の時に本格的な勉強の為に留学を決める。

本当は離れるのは不安ですごく悩んだけど、彼がやりたいことをやっていいって優しく言ってくれた。

そして1年の勉強を終えて帰ってくる途中で事故にあった。

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