第19話

「反則だし、完全にアウトでしょ」



「でも、くれたもーん!」



ヨーヨーをくれた子に「はっぴ似合ってるよ」と、声をかけると顔が真っ赤になった。



「あ、まだ余ってるので!よかったら…!」



僕と愁の分のはっぴを持ってきてくれる。



「え!マジで?」



「やった!!ありがとう!」



ぎゅっと抱きついて、お礼をした。


貰ったはっぴを着て、ヨーヨーをぶら下げて、焼きそばを持って海たちのところへ帰る。



遊戯室の前は、長蛇の列だった。

生徒会室から、遊戯室へ続く扉を開ける。


中はざわざわしていて、ちょうど裏で海と颯斗が話していた。



海と僕と佐々木で作った冊子をパラパラと見ている颯斗。



「え、誰か来るの?」



「あ、それ、暁だよ!」



スペシャルゲストの話をしているようだった。



「スペシャルゲストなんだね」



颯斗が不思議そうに言う。



「いや、だって、赤髪の暁くんだよ?」



「ね!スペシャルゲストじゃん!」



思わず、愁も僕も話に加わる。


颯斗は、驚いた様子で振り向いた。



僕たちの姿を見て、え?という顔をしている。


あ、なんではっぴ着てるんだろう…って顔かな?



暁が赤い髪の毛のままでいいのかと、話していると要がお店の方からやって来るのが見えた。


…怒ってる。



「そんなことは後でいいので、仕事してくれませんか?」



ギロッと睨まれる僕たち。



「「すみません…」」



海と颯斗は、急いでお店に戻る。



僕たちも静かに生徒会室へ着替えに行った。

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