第20話

愁と急いで着替える。



「あ、海が倍働けって言ってたよ」



そう伝えると、「え~」と嫌そうな顔をしながら、遊戯室に入る愁。



続いて中に入ると、海が待っていた。



「海!」



僕は、海に駆け寄った。



「ごめんね…お店放置して…」



海に謝ると、いつもの笑顔で聞かれた。



「いいよ、それより…楽しかった?」



僕は「うん!」と、いっぱい頷いた。



「空、楽しそうだもんね?」



海は、僕に1枚の写真を見せる。



僕が愁に抱っこされて、頭をくっつけている写真だった。



「もう拡散されてるんだ~」



僕はそう言って、ちらっと海を見た。


海は、口をきゅっと結んで俯いていた。



あ、ヤキモチだ。



「後で一緒に遊びに行こうね」



海をぎゅうっと抱きしめて、約束する。



海も僕をぎゅっと抱きしめ返した。



「うん、でも…」



海は、僕から離れると首を傾げて言った。



「その前に働いてね?」



海に手を引かれて、お店に出る。



お客さんがいるところまで行くと、海が息を吸うのがわかった。



僕は、海と一緒に息を吸う。




「「いらっしゃいませ!何名様ですか?」」




僕と海は、小さい頃からずっと一緒。



海が何をしたいのか、何を考えているのか、言わなくてもよくわかる。



海が頑張ってくれた分、これから僕がたくさん働くよ



後ろから海に抱きつく。



「大好き」



僕の言葉を聞いて、周りのお客さんがきゃーきゃー騒ぐ。


海もそれを聞いて、振り向いて言った。



「僕も…」

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