第64話

生徒会室の扉の前で、一度深呼吸をする。

トントンと控えめに扉を叩いた。



「どうぞ」



中から佐々木の声がした。



扉を開けて中に入る。



「失礼しまぁす…」



楽しそうに話していた声が止まり、俺たちに視線が集中する。



あ、全員揃ってる…



「生徒会親衛隊隊長の藤森颯斗です~!生徒会の皆さまにお話があって来ましたぁ!」



元気よく!いつもより語尾を伸ばして挨拶する。


さあ、これで気づいてくれたであろう。俺が1人じゃないことを。



「どうしたの?」



パタパタと俺のところに走ってくる海。



「海様ぁ!お久しぶりです~!お会いできて光栄です~!」



そう言いながら、ちらっと後ろへ視線を送る。



あぁ、と納得した表情で頷くと、海も演技に付き合ってくれた。



「久しぶり!ようこそ生徒会室へ」



手を掴んで、中へ招き入れてくれた。



「こんにちは、会長の親衛隊副隊長、近藤裕樹(コンドウユウキ)です」



近藤が、後ろからひょこっと顔を出すと、俺の腕をぎゅっと握った。


え、いつもこんなことしないのに…



慣れないことに戸惑い、手を払えずにそのまま市川の前へ向かう。



「…話って?」



近藤がいるからか、いつもより話し方が優しい気がする。



ふと視界の下の方で何か動いた気がして、視線を下に向ける。



すると、しゃがんでいる暁がいた。


暁は、俺の腕を掴む近藤をじっと見ている。



「あ…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る