第38話

「…あたっ」



颯斗の声でハッと我に返る。



いつの間にか、颯斗を襲っていた男達はいなくなっていた。



その代わりに俺の右足がジーン…と痛む。



あぁ、俺…蹴ったのか



颯斗を見ると、壁に頭をぶつけて倒れていた。



「…颯斗っ!?」



駆け寄って、颯斗を思いっきり強く抱きしめる。





「…あ、きら…」



弱々しい涙声。



俺のせいだ…



颯斗から離れたから…



守ってあげられなかった…



何も出来なかった自分にイライラする。



「…ごめん、ごめんね…」



「…暁?」



「俺、守ってあげられなくて…」



「…何言って…」



「俺のせいでごめん…」



「…違うよ、暁のせいじゃないよ?」



「…ごめん、」



「もう謝らないで…」



「…でも、」



「謝らないでってば、それ以上言ったら別れるよ?」



「うっ……」



そんなこと言われたら謝れない。



「暁…」



「なにっ?」

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