第36話

「も、もしもしっ!愁、颯斗知らない!?」



「え、颯斗?知らないよ?」



「そっか…どうしよう…」



「…どーした?」



原野の声が

真剣な低いトーンになる。



「ちょっと離れた間に、いなくなっちゃったんだ…!神社の石段のところで待っててって言ったから、何の連絡もなしにどっか行くわけないし…あの可愛い格好だから誰かに連れて行かれたりとか…?あぁ!もう、どうしようっっ!!」



「ちょ、落ち着いて、」



原野の声で深呼吸する。



「今、一緒じゃないのね?」



「…うん」



「どこに行ったか知らないの?」



「…うん」



「1人なのね?」



「…うん、たぶん…」



「まず、暁はもう1回神社の石段まで戻って。神社の奥の方も見てみて?もし、連れていかれたなら…人気のないところだから」



「…うん、わかった」



「俺らもすぐ行くから」



「うん、ありがと…」



電話を切って、石段まで走る。



「はぁっ…はぁっ…颯斗っ…!」

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