夏祭り〈後編〉

第32話

――大塚暁side





「はぁっ…やっと見つけた…!」



財布から500円玉を取り出して、自動販売機に突っ込んだ。



水のボタンを強く押す。



ガコンッと音を立てて出てきた水を乱暴に引っ張り出す。



近くに自動販売機がなくて、

歩き回った。



暑さとダルさにイライラする。



お釣りをしっかり取ってから、

颯斗が待つ石段まで走った。



颯斗が待ってるから!



早く会いたいから!!



1分1秒も無駄に出来ない。



「はぁ、はぁ…」



全速力で走って行くと、

いるはずの颯斗の姿が無かった。



「あれ…颯斗?」



周りを見渡す。



だけど…颯斗の姿はない。



あんなに、可愛いから目立たないはずないのに。



「颯斗ーーっっ!!」



大声で叫んでみても、

颯斗からの返事は無かった。

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