第31話
「あ?」
「誰だ、お前?」
瞑っていた目を開けた。
「…っ…あ、きら…」
暁の姿を見たら、涙が出てきた。
「へぇ…君が彼氏?」
「あきら君?」
「そうだけど?触んじゃねぇよ…俺の颯斗から、今すぐ離れろ」
「ふーん、颯斗って言うの?」
そう言って、男Aは俺の胸の突起を摘まんだ。
「んあっ…」
「ははっ…彼氏の前で、他の男に感じてるとか…お前エロいなぁ」
男Aに、首筋にキスをされた。
「やめっ…」
涙がポロポロと溢れた。
すると、ドゴッという鈍い音と共に男Bのうめき声が聞こえた。
「ぐあっ…」
視界から男Bが消えた。
…ん?
何が起こったんだ?
「触んなって言ってんだろ?」
男Bの変わりに、今までに見たことない怖い顔をした暁がいた。
…ちょー怖い…
「なっ!!」
「次は、お前か?」
ゴキッゴキッと指をならして歩いてくる暁。
「ちょっ、すみません!帰りますから!!」
男Aは俺を離して、男Bを連れて逃げて行った。
男Aに寄りかかっていた俺は、支えが無くなって壁にぶつかった。
「…あたっ…」
「…颯斗っ!?」
暁が俺に駆け寄って来てくれた。
「……暁」
「颯斗っ…!!」
ギュッと抱きしめられる。
若干冷たくなっていた体が、暁に抱きしめられて熱を取り戻す。
…温かくて、安心する…
俺も暁を抱きしめ返した。
「…あ、きら…」
自分でもビックリするくらい、
弱々しく涙声だった。
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