第11話
ボーン、ボーン、
12時を知らせる鐘が
鳴り響きました。
「はっ!俺…帰らなくては!!」
さようならと王子様に告げると、颯斗君は階段を駆け降りました。
「待ってください!お名前をっ」
王子様が呼びますが、
颯斗君は振り返りませんでした。
階段を駆け降りる途中で、ガラスの靴が脱げてしまいました。
「あっ…」
取りに戻ろうとしましたが、時間がないのでそのまま馬車に乗り込みました。
パカッパカッと、
馬が走り出しました。
「…っ…」
落ちていたガラスの靴を拾い、
行ってしまった馬車を寂しそうに見ていました。
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