第12話

布団を畳み終えた皐月くんはクローゼットにそれを仕舞い込むと


代わりにタオルケットを引っ張り出してきた。




「これで涼しいな」



「ん」



何と無く、目を見る事が出来無くて


小さく頷いて同意を伝える。




「……、」



「……、」



再びベッドの上に腰を下ろした皐月くんは無言で

私も釣られて無言になってしまう。




「……、」



「……、」




どうしよう、昨日の事聞くなら今だよね…



でも聞きたいのに、聞かなくちゃいけないのに…



私にはそれを聞く勇気さえ湧いてこない。




どうしよう…、



無言のままの皐月くんの顔色を窺う様に

ちらちらと視線だけが踊る。




「…何」




それに気付いた皐月くんがようやく沈黙を破ってくれた。

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