第19話

あれから何時間経ったのだろうか。


脇腹と右足からの出血が止まらないのに、体は拘束され、意識を飛ばそうとすれば水が降ってくる。


寒い、眠い。


そんなことを思ってると、あの男が俺の目の前に現れた。



「きみも気の毒だよねぇ、喧嘩に巻き込まれなきゃこんな目に遭わなかったのに」



「はっ…お前らが弱いから…っ人質とらねぇと…ならねぇんだろうが」



そういうと目の前の男は表情をなくし、脇腹と右足の傷をさらに深く刺して広げた後、首を絞めてきた。



息が、できない。


目の前が、暗くなる。…息ができない感覚は、前に溺れたことを、思い出す。

いじめられて、海に落とされた、あの時のことを。



「今すぐ理玖から手を離しやがれ!!」


怒鳴り声とともに、首から手が離された。


急に入ってきた酸素に、咳き込みながら息を整えた。



「おめーら!全員かかりやがれ!」


俺を拉致した相手の合図とともに、乱闘が始まったー…。

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