第11話

「ごめんね、理玖、人と関わるの嫌がるんだよね。家族思いではあるから、ボクにとっては優しい兄なんだけど。」


皐月君が優しく微笑んだ。


よっぽど大事なのがまたわかる。



「ー…何か、トラウマでもあるのか?詳しくは聞かない、あるかないかだけでも知れたら対処しやすい。」


皇紀が珍しく口を開いた。


曲がりなりにも巻き込んでしまったこちらとしては、一緒にいて守りたいから。


そのための努力は惜しまない。



「ー…あるよ。そりゃあ、いくらクールで図太い理玖にとっても、トラウマくらい。」


皐月君が一瞬理玖君の方を見てからそう答えた。



「ー…分かった」


皇紀はそれ以降口を閉ざした。



いつか、春風が理玖君の居場所となることを願って。



ー凌サイド終了ー

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